2 秘密証書遺言の作成要件
秘密証書遺言については,遺言者が署名押印をする必要はあるものの,全文を自筆する必要はありません。
また,封書の作成後は,公証人が関与するものの,封書の中身である遺言書の作成については,公証人が関与しません。
ですから,遺言者の側で要式を備えた遺言書を作成する必要があります。
相続開始後の紛争の火種とならないように,遺言書を作成する際には,どちらにもとれるような文章は避けるよう注意する必要もあります。
このように,秘密証書遺言の作成に当たっては,要式や文面について慎重にチェックをする必要があります。
できれば,弁護士などの専門家にチェックをしてもらった方が良いでしょう。
3 秘密証書遺言の作成手数料
手数料は,相続財産の総額とは関係なく,一律1万1000円です。
これに加え,公証人が出張した場合には,日当や旅費などを支払う必要もあります。
手数料については,公正証書遺言よりも低額です。
4 秘密証書遺言の保管
遺言書の保管は,遺言者に委ねられます。
公証人役場では,遺言したことは記録されますが,遺言書の原本を保管することはありません。
したがって,遺言者自身において,相続開始時まで遺言を確実に保管し,相続開始後に遺言を確実に発見してもらう手立てを講じておく必要があります。
遺言書自体が破棄されるおそれもあり,相続開始後に遺言の内容が実現されないおそれもあるからです。