「エンディングノート」というドキュメンタリー映画を観ました。
非常に段取り好きの営業マンであった、この映画の監督のお父さんを主人公として撮られた作品です。
このお父さんは相続における段取りは言うに及ばず、自分のお葬式の段取りをするのにキリスト教に宗派替えまでして行なったり、死後の自分名義の預金口座のある銀行の名義変更の手続の詳細までレポートとして遺したりと、遺された遺族に対して至れり尽くせりの相続の準備をしていくのです。
癌により日に日に体力が奪われていくのにです。
しかしながら、このお父さんのように私たちは自分の死期が近付いたことを知って、冷静さを保ち、粛々と相続の準備を始めるような真似はなかなか出来たものではありません。
多くの人が遺族を慮った相続の段取りなどよりも、自分の死に直面してのパニックが勝り、ひたすらオロオロとするばかりのように思います。
以上のようなことが予め分かっているのならば、早いうちに相続の段取りをしておけばよさそうなものですが、夏休みの子どもの宿題同様になかなか期日が差迫らないと手につかないのが一般の人間です。
ましてや自分の家族に限って、自分の死後に相続をめぐって骨肉の争いをするなどとは誰しもハナから思いません。
じゃあ、日頃からそのような相続に対しての懸念がある人が段取りができるのかといえば、そういうわけでもないでしょう。
たとえば、病気などにより、すでに判断力が失われている場合には、段取りをしようにもすることができません。
そのため弁護士に早めに相談し、段取りを考えておくのも大事なことかもしれません。