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遺言書の書き直し方

  • 文責:所長 弁護士 古田裕佳
  • 最終更新日:2023年4月21日

1 遺言書はいつでも書き直せる

遺言書はいつでも、何度でも書き直すことができます。

むしろ、相続人との関係の変化や財産状況の変化に伴って、書き直していった方が、遺志がしっかり反映された遺言書になるため、おすすめです。

そもそも遺言書には、通常、遺言者の財産関係に関する事項や身分関係に関する事項についての意思表示が書かれています。

遺言書は、大切な文書であり、ときには、書き直す必要が出てくることもあります。

そのため、民法では、「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる」と規定しています。

さらに、民法は、「遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない」と規定しています。

このように、民法は、遺言に関して、遺言者の意思を特に強く保護しており、遺言を撤回する権利も強く守っています。

2 遺言書の書き直し方

⑴ 遺言の撤回は「遺言の方式に従って」行う必要がある

基本的には、新しい遺言を作成することによって、それより前の遺言を撤回することができます。

⑵ 撤回の意思表示がなくとも、遺言の撤回があったとみなされる場合がある

1つ目は、前の遺言が後の遺言と抵触するときです。

その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。

例えば、複数の遺言が存在する場合は、後に書かれた遺言に抵触する前の遺言の部分は、撤回したものとみなされます。

2つ目は、遺言に書かれている財産であるにもかかわらず、遺言後に生前処分等されてしまった場合にも、その限度で、遺言の撤回があったとみなされます。

例えば、遺言で、家は長男に相続させるとしたにもかかわらず、その家を生前に処分してしまった場合などです。

3つ目は、遺言者が故意に遺言書を破棄した場合にも、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされます。

例えば、手書きの遺言書(自筆証書遺言といいます)を作っていたが、それを破り捨てた場合や、遺言書に大きく「×」を書いた場合などです。

なお、公証役場で作る公正証書遺言の場合、手元にある遺言書に大きく「×」を書いたとしても、遺言を撤回したとはみなされない可能性がありますので、注意が必要です。

4つ目は、遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄した場合にも、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされます。

3 遺言に関するご相談

遺言の作成に携わる専門家は多くいます。

しかし、専門家の中には、定型通りの遺言書しか作らない方や、遺言にあまり詳しくない方もいます。

実際、そのような専門家が作った遺言書に関して、内容や形式に問題があり、遺言書自体が無効になったり、遺言書の内容をめぐって相続人間で訴訟になったりした事例もあります。

そのため、遺言を専門家にご相談する際は、相続に詳しい専門家にご相談された方が安心です。

また、すでに遺言書を作っている場合でも、その内容に誤りがあるかもしれませんので、遺言に詳しい専門家に、遺言の内容や形式等に間違いがないか、しっかり確認してもらった方が安心です。

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