お役立ち情報
遺言書完成までにかかる時間
1 遺言作成のために準備すべきこと
不備のない遺言を作成するに当たっては,いくつか,事前に準備する資料があります。
遺言を作成するに当たっては,これらの資料を準備する時間が必要になります。
⑴ すべての財産を特定の誰かに引き継ぐ内容の遺言の場合
ア すべての財産を特定の誰かに引き継ぐ内容の遺言の場合は,最低限の準備として,財産を引き継ぐ人が誰であるかを客観的に特定する資料を準備する必要があります。
財産を引き継ぐ人が親族の場合は,その人と遺言者との続柄で,財産を引き継ぐ人が親族でない場合は,その人の住所で特定するのが一般的です。
したがって,財産を引き継ぐ人が親族の場合は,続柄を証明する戸籍謄本を準備することとなりますし,財産を引き継ぐ人が親族でない場合は,その人の住所を証明する住民票を準備することとなります。
公正証書遺言を作成する場合にも,あらかじめ,これらの資料を公証役場に提出する必要があります。
これらの資料を準備するには,近くの市町村役場で入手できるのであれば,1日で足りますが,遠方の市町村役場で入手する必要がある場合は,郵送請求なら少なくとも1週間というように,ある程度の時間を要します。
イ もっとも,実際には,すべての財産を特定の誰かに引き継ぐ内容の遺言を作成する場合であっても,「以下の不動産,預貯金を含むすべての財産を相続させる。」というように,遺言で,不動産の所在・地番等,預貯金が存在する銀行名・支店名等を特定して記載することも多いです。
これは,相続開始後,不動産や預貯金の名義変更・払戻を行う際,名義変更・払戻の対象となる財産を特定し,スムーズに手続を進められるようにするためであり,また,財産を引き継ぐ人に財産の内容を知ってもらうためでもあります。
公正証書遺言を作成する場合でも,基本的には,不動産の所在・地番等を明記して,遺言が作成されることが多いです。
このような場合には,後で述べるように,不動産や預貯金についての資料を準備する必要があります。
⑵ 特定の財産を特定の誰かに引き継ぐ内容の遺言の場合
この場合には,財産を引き継ぐ人が誰であるかを客観的に特定する資料とともに,引き継ぐ対象になる財産を特定する資料を準備する必要があります。
不動産については所在・地番等,預貯金については銀行名・支店名等で特定することとなります。
そのためには,不動産の登記簿謄本,預貯金の通帳のコピー等の資料を準備する必要があります。
これらの資料については,財産内容がはっきりしているのであれば,基本的には,1日で集めることができるでしょう。
他方,財産内容がはっきりしておらず,財産調査をしなければならない場合は,何週間かの時間が必要となることもあります。
2 遺言の文案の作成
遺言の文案については,遺言を作成される方の希望を聴き取った上で,作成されることとなります。
単純な内容のものであれば,すぐにでも文案を作成することができますが,財産の種類・内容が膨大である場合,財産を取得する人が多人数になる場合,予備的条項等の特別な条項を詳細に設ける場合等については,打合せを重ねた上,正確な内容の文案を作成することとなるため,何週間かの時間を要することもあります。
3 遺言書の作成
遺言書は,おおむね,自筆証書遺言と公正証書遺言のいずれかの方式で作成されます。
⑴ 自筆証書遺言の場合
自筆証書遺言については,遺言を作成される方が,遺言の全文,日付,氏名を自書し,押印する必要があります。
これらの手順については,どれだけ長い遺言であっても,基本的には1日で済むでしょう。
ただ,遺言を作成される方の自筆能力が低下している場合には,あまり望ましいことではありませんが,何日かかけて作成することもあり得ます。
⑵ 公正証書遺言の場合
公正証書遺言については,まず,公証役場で事前に打ち合わせを行うか,公証役場に文案を送付し,公証人に対して,作成を希望する遺言の内容を伝える必要があります。
その上で,公証人と日程調整を行った上で,公正証書遺言が作成されることとなります。
こうした準備については,単純な内容の遺言であれば,1週間程で済みますが,複雑な内容の遺言であり,公証人と協議を重ねる必要がある場合は,何週間かの時間を要することもあります。
また,公証人の予定が詰まっている場合には,公証人の予定が空くのを待たなければならないこともあります。
4 遺言作成についてのご相談
当法人は,遺言作成の案件を広く取り扱っています。
当法人は,事前に,上記のような遺言作成の手順を説明し,準備に必要な時間についての説明を行って上で,遺言作成の案件をお受けさせていただいています。
緊急で遺言を作成する必要がある場合については,限られた時間で作成可能な遺言の作成を提案させていただいています。
岐阜やその周辺地域にお住まいの方で,遺言作成の件でお困りのことがあれば,ご相談ください。