遺言に関する疑問
遺言をどのように書けばいいかわからない等の疑問解消には、こちらのページをお役立ていただければと思います。岐阜で弁護士に相談したい方は当法人にお気軽にご連絡ください。
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遺言の作成に必要な費用
1 自筆証書遺言を作成する場合
自分で書いて作成する遺言書のことを自筆証書遺言といいます。
自筆証書遺言の用紙や筆記具は特に制限がありませんから、これを作成するだけであれば、費用はほとんどかからないといえます。
ただし、何も参考にせず遺言書を作成してしまうと、法的に有効な遺言書となっていないおそれがあります。
また、そのようにして作成された遺言書の存在がかえって相続でのトラブルを生む原因ともなりかねませんので、非常にリスクが高いです。
そのため、自筆の遺言書を作成するときでも、弁護士などの専門家に相談し、アドバイスを受けて作成すべきだといえます。
専門家への依頼をする場合には、内容についてのアドバイスを受けた後に、遺言書の案文を作成してもらえますので、遺言書を作成するときには、その案文を書き写すことになります。
専門家に依頼する場合の費用としては、遺言書の内容や、どこまでの内容を依頼するかによります。
2 公正証書遺言を作成する場合
公証人に作成してもらう遺言書のことを公正証書遺言といいます。
公正証書遺言を作成してもらうためには、公証人に対する費用を支払う必要があります。
この費用の額は、相続財産(相続させようとした財産や相続人の数)の額、予備的な条項やその他の条項をどれだけ入れるのか、遺言書の枚数などをもとに、政令で定められた計算方法にしたがって計算されます。
公正証書遺言は公証役場で作成することが一般的ですが、病気やけがなどで外出できない遺言者は、公証人に自宅や病院に出張してもらうことができるのですが、作成費用が1.5倍になるほか、出張のための交通費などの費用もかかります。
公正証書遺言を作成する場合には、戸籍等の相続人に関する資料や、不動産登記簿謄本等の相続財産に関する資料、本人確認のための資料も用意することが必要ですので、この取得に必要な費用もかかります。
公正証書遺言を作成する場合にも、その内容についての専門家のアドバイスを受けて作成した方がよいことから、専門家に依頼する場合には、専門家に対する費用もかかります。
遺言書を作成する際の注意点
1 遺言書の内容を考えることが最も大事
遺言書を書こうと思われた際の動機は、人それぞれでしょう。
そこで、「この内容の遺言書を書こう」と思ったときに、本当にその内容でよいのか考えることが最も大事ですし、これを検討するにあたっては細心の注意が必要です。
その記載で相続の手続きが進められるのか、遺留分などに対する配慮は十分なのか、予期せぬ事態が起きた場合への備えがされているか、遺言執行者の指定などで揉めない内容となっているか、相続税申告についての配慮がされているかなど、考慮すべき事項は非常に多くあります。
ご自身で作成された遺言書が、これらの事項のすべてをしっかりと検討した上で作成されているということは非常に少ないと感じますので、まずは法律の専門家に内容についてのアドバイスを受けることをおすすめします。
アドバイスを受けるべき専門家としては、弁護士などの法律の専門家がふさわしいですし、なるべく相続を中心的に扱っている専門家を選びましょう。
相続税についてのアドバイスも受けたいのであれば、税理士や税理士資格も持つ弁護士に相談されるのがよいかと思います。
2 遺言書の方式も検討すべき
遺言書には、主に自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言は自分で書いて作成する遺言書で、公正証書遺言とは公証人に作成してもらう遺言書ですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
自筆証書遺言のメリットとしては、手軽に作成することができるという点が大きいでしょう。
特に、遺言書の書き直しもありうる方については、まずは自筆で作成してみるというのもよいと思います。
他方で、デメリットとしては、しっかりと対策をしていないと遺言書の効力を否定されるリスクがあることや、保管している遺言書を紛失したり、改ざんされたりするリスクがあるといったことがあり得ます。
ただし、遺言書の効力についても、専門家が入って作成すれば手続きで問題になることはないでしょうし、作成する場面をビデオ撮影するなどすれば偽造だと主張されるリスクをおさえることができます。
保管の問題も、現在は法務局で遺言書の原本を保管する制度ができたため、軽減できるでしょう。
公正証書遺言のメリットとしては、公証人が作成するため遺言書の効力が否定される可能性が低いということや、自筆証書遺言と違い、長い文章を自分で書かなくて済むということ、遺言者が亡くなった後に検認の手続きをしなくて済むということがあります。
デメリットとしては、公証人に支払う費用がかかることや作成にあたって準備する書類があるという点があります。
その方に合った遺言書の作成の方式はそれぞれでしょうから、これについてもしっかりと検討しましょう。
遺言の作成で困った際の相談先
1 相談先選びの注意点
遺言の作成の相談先としては、例えば、弁護士、税理士、行政書士、司法書士、信託銀行等があげられます。
しかし、このうち、遺言書の内容をどのようにするかの有料法律相談は弁護士しか行うことができず、他の税理士や行政書士、司法書士等は行うことができません。
ただ、この点、行政書士であれば、遺言書の内容が決まっており、それを法的な文書にすることについてのみ、行うことができます。
例えば、遺産を長男に渡したい場合に、行政書士は、遺言書の文言をどのようにするのかについてのみ、相談にのることが可能です。
なお、弁護士や行政書士以外の専門家(司法書士や行政書士、信託銀行等)については、本来、遺言の作成の相談に乗ることはできないと考えられていますので注意が必要です。
2 専門家でも遺言書に詳しくない場合もある
⑴ 専門家選びの注意点
専門家にご依頼される際、特に注意していただきたい点として、遺言書の作成に詳しくない専門家もいるということです。
専門家の中には、遺言書に関する裁判を行ったことがない方や、遺言書作成をほとんどやったことがない方、遺言の作成の落とし穴について、知らない方などがいます。
遺言書については、書き方や内容に不備があった場合、相続人の間でトラブルになったり、遺言書自体が無効になったりすることがあります。
⑵ 専門家でも見落とす遺言書の落とし穴
例えば、専門家でも見落としやすい点として、予備的条項が記載されていないものがあります。
これは、遺言書を作成される方よりも先に、財産を取得する人が亡くなった場合に備えて、次に渡す人を決めておくというものです。
例えば、父が長男に遺産を渡すと記載し、長男が亡くなった場合は、長男の子に遺産を渡すといった内容です。
この予備的条項がなかった場合、長男が父より先に亡くなってしまうと、長男に遺産を渡すという部分が無効になります。
このように、遺言書作成においては、専門家でも見落としやすい点が多々ありますので、遺言の作成を専門家に依頼する場合は、遺言書の作成に強い専門家に依頼することをおすすめします。
3 遺言の作成に強い専門家にご相談ください
遺言書の作成を相談する専門家については、法律に詳しく、また、税金についても詳しい専門家にご相談されることをおすすめします
なぜなら、遺言書の作成については、相続法や裁判実務だけでなく、税金についても深くかかわってくるためです。
例えば、遺言書の内容で、財産を誰に渡すのかによって、相続税や譲渡所得税が大きく異なることがあります。
そのため、遺言の作成にお悩みの方は、相続に詳しい弁護士と税理士が在籍しているところにご相談されることをおすすめします。
なお、当法人では、遺言書の作成を含む相続案件を集中的に取り扱っている弁護士が原則無料で遺言書のご相談に乗らせていただいており、必要に応じて税理士と連携して対応させていただきますので、安心してご相談ください。
自分で遺言を作成するメリット・デメリット
1 自分で遺言を作成するメリット
遺言書は自分で作成することができます。
自分で書いて作成する遺言書のことを「自筆証書遺言」と呼び、これは紙と筆記用具があれば作成することが可能です。
原則として財産目録を除く全文を自書すること、日付を記入すること、署名と押印をすることというルールを守ってもらえれば、法的には遺言としての効力を持った遺言書を作成することができるでしょう。
このように作成された遺言書はほとんど費用がかかりませんので、自分で遺言書を作成することのメリットは、費用をほとんどかけることなく作成することができるということでしょう。
2 自分で遺言書作成するデメリット
法的に有効な遺言書を自分で作成することは、それほど難しいことではないでしょう。
しかし、その遺言書で実際に相続の手続きができるかどうかは別です。
遺言書の記載内容によっては、自分で作成した遺言書では相続手続きを受け付けてもらえないことがあります。
相続手続きが確実にできる遺言書を作成するためには、公証人に公正証書遺言を作成してもらうか、弁護士に自筆証書遺言の作成をサポートしてもらうのがよいでしょう。
また、遺言書の内容が遺言者の意思に沿わないものとなってしまうことがあります。
遺言書の内容は、相続での争いを無くすこと、万が一の事態にも対応できるようなものとすること、相続税の対策がされていることなどを総合的に考えて精査し、決めていく必要があります。
遺言を書く人にとっても、相続財産を引き継ぐ人にとっても、ベストな内容の遺言書を作成することは、自分で作成するとなると非常に難しいと思われます。
このように、自分で遺言書を作成する場合には、相続手続きができなかったり、内容がベストのものではなかったりというリスクがあるというデメリットがあります。
相続での争いを回避することを最優先に考えるのであれば、相続で争われるケースをたくさん経験している弁護士に遺言書を作成してもらうのがよいでしょう。
相続税のことも配慮した遺言書を作成したいのであれば、税理士にも遺言書の作成を相談するのがよいでしょう。
専門家に遺言書を作成してもらう場合には、相続の案件を多く扱っており、経験のある専門家を選ぶようにしてください。
他方で、専門家に依頼する場合には、専門家に支払う費用が発生しますから、しっかりとした遺言書を作成するメリットと、費用を支払わなければならないというデメリットを比較して、どちらの方法で作成するかを検討してください。
遺言執行者の選び方
1 相続人を遺言執行者に選ぶことのリスク
遺言書を作成する際には、遺言の内容を実現する遺言執行者を指定するべきです。
遺言執行者は、預貯金の解約など、遺言の中で必要とされている事務を行います。
相続人を遺言執行者に指定することも、法律上は禁止されていませんし、裁判例でも原則として有効だとされています。
ただし、遺言執行者は、他の相続人の同意なく、相続手続きを進めることができるため、他の相続人から「遺産を独り占めしようとしている」とみられたり、「遺言書の内容どおりに手続きをしていないのではないか」との疑惑を持たれたりすることがあります。
そのため、相続人を遺言執行者に選んだ場合には、そのことが相続で揉める原因になることがあります。
また、遺言執行者は、就任についての通知、遺産目録の作成、遺言執行事務の顛末の報告など、多くの事務作業や書類作成をすることが必要となりますが、通常の相続人は、このような遺言執行事務に慣れているわけではありません。
そのため、遺言執行者が法律に定められた手順を取っていないことを他の相続人が非難するなどして、揉める原因になるおそれがあります。
2 安心できる専門家を遺言執行者に指定するべき
相続人の一人を遺言執行者に指定することにリスクがあることは先述したとおりですが、実は、遺言執行者は様々な不測の事態に対応する必要があり、専門家でない者がこれに対応することは困難な場合があります。
例えば、遺言書の効力を争う者が現れた場合には、その効力の争いの訴訟において、遺言執行者は当事者として対応する必要がある場合があります。
遺産に不動産が含まれている場合、相続法の改正によって、遺言執行者は、相続人に執行前に処分されることを防ぐため、迅速に受遺者への不動産登記手続きをしなければならなくなりました。
遺言執行者がこれらの手続きを適正に行わない場合には、遺言執行者としての法的責任を問われるおそれがあります。
そのため、このようなリスクを避けるためには、遺言執行者に弁護士などの専門家を指定しておくのが安心です。
この専門家は、遺言執行業務に精通している相続に強い弁護士などの専門家を指定しておくべきでしょう。
専門家を遺言執行者に指定する場合には、遺言書を作成する際に、その専門家に指定していることを知らせておくことが必要です。
通常は、遺言書を作成する際に、その作成も専門家に依頼し、その専門家を遺言執行者に指定することが多いでしょう。
遺言執行者を弁護士にするメリット
1 遺言執行者を親族にすると揉める原因になることがある
遺言書を書く場合、遺言の内容を実現するために遺言執行者を指定しておくことがおすすめです。
ただ、この遺言執行者に親族を指定していると、相続の際に揉める原因となることがあります。
なぜなら、遺言執行者が親族である場合、遺言の内容に納得していない相続人から、その事務内容についての不満が出るおそれがあるからです。
もともと、遺言執行者は相続人や受贈者とは中立である立場で執行事務を行う必要があるとされています。
現在の裁判上は、遺言執行者が相続人の一人であるという理由だけで解任される理由にはならないとされていますが、この中立性に対する疑念を抱かれかねない立場ではあるため、なるべく避けるべきだと考えられます。
遺言執行者を弁護士にした場合には、相続人間での遺言執行事務をめぐる揉めごとを避けることができるというメリットがあります。
2 遺言執行者には多くの事務がある
遺言執行者には、非常に多くの事務があります。
まず、遺言執行者に就任したときには、すべての相続人や受贈者に対して、自らが遺言執行者に就任した旨の連絡をする必要があります。
その後、不動産の名義変更や預貯金の解約手続きのために必要な戸籍を収集した上で、法務局や金融機関に対する手続きをしていく必要があります。
これと併行して、遺産についての必要な調査を行った上で、遺産目録を作成し、相続人や受贈者にこれを提供しなければなりませんし、執行事務についての報告を求められた場合には、これに対応しなければなりません。
不動産の名義変更や預貯金の解約手続きが終わった後には、遺言執行についての顛末を報告した上で、相続人や受贈者に遺産を引き継いでいく必要があります。
これらの事務については、慣れていない親族の方が適切に行うのは難しい場合もありますので、弁護士に依頼することをおすすめいたします。
遺言執行業務に慣れている弁護士に依頼すれば、多くの遺言執行事務を適切に対応してもらうことができます。
3 訴訟の被告になることがある
遺言執行者は、場合によっては、相続に関係する訴訟の被告になることがあります。
例えば、遺言の内容に不満がある相続人から遺言無効確認訴訟が提起された場合には、遺言執行者が訴訟の被告になる場合があります。
このような場合にも、弁護士が遺言執行者になっていれば適切に対応することができます。
遺言の作成を専門家に相談する際の流れ
1 相続人についての情報
遺言書を作成する場合、どの財産を誰に相続させたいかということが主たる内容になります。
そのため、まずは財産を取得する予定の相続人についての情報をお知らせください。
ただし、この場合にも、他の相続人についての情報が必要なくなるわけではありません。
なぜなら、後のトラブルを避け、ベストな内容での遺言書とするためには、どのような相続人がいるかを把握する必要がありますし、また、相続税の対策を考える上でも、相続人全員の情報は必要不可欠だからです。
それ以外にも、相続人が遺言者よりも先に亡くなった場合に備える予備的条項の作成のため、そのような場合に相続させたい方に関する情報も必要となります。
また、遺言書では相続人以外の第三者に遺贈をすることももちろんできますので、その場合には、その第三者についての情報もお知らせください。
相続人の関係図を簡単にでもご作成していただき、相談に向けてご用意いただけると、相談がスムーズに進みます。
2 相続財産についての情報
次に、相続財産についての情報が必要です。
不動産や預貯金、生命保険など、財産の種類と内容をお知らせください。
もちろん、実際に遺言が執行される段階では、現在の財産とは金額等が異なる内容になっていることもありますが、基本的には現在の財産の額をベースにして、遺言の内容を考えていきます。
預貯金については、その価額がいくらかが通帳などによってすぐに分かりますが、不動産はいくらの評価額になるのかがすぐには分かりません。
この場合、不動産の内容が分かるものとして、不動産の登記簿謄本や不動産登記情報がありますし、固定資産評価額からある程度の概算が可能であるため、これが分かる固定資産税等の納税通知書などの書類をご用意いただきたいと思います。
岐阜以外の不動産であっても、登記簿謄本は郵送等で取得することができますし、固定資産税等の納税通知書は、岐阜にある不動産であれば岐阜の自治体から送付されてきます。
ただ、このような資料が手元にないと相談ができないかというと、そうではありませんので、差し当たって、分かっている情報だけでご相談いただくことも可能です。
その場合には、必要な追加資料については、その取得方法をお知らせすることもできますし、専門家の方で取得することも可能です。
3 相談の進み方
どのような遺言書の内容が遺言者にとってベストなのかは、相続人や財産の内容だけで、ただちに導かれるものではありません。
遺言書を書きたいと思った動機や事情を伺い、遺言者の意思を最も反映させる遺言書はどのようなものかを考える必要があります。
専門家にご相談いただければ、遺言者が気づいていなかった点についても指摘させていただき、内容に関するご提案をさせていただけるかと思います。
自筆証書遺言書保管制度
1 遺言書を保管してくれる制度
令和2年7月10日から、国に自筆証書遺言を保管してもらえる制度が開始されました。
自筆証書遺言は、これまで自宅で保管されることが多かったのですが、その場合には紛失してしまったり、作成されたことが知られないままになってしまったりするおそれがありました。
このほかにも、相続人によって廃棄や隠匿がされたり、改ざんがされたりするおそれがあることが問題視されていました。
自筆証書遺言には、手軽に作成できたり、作成し直すことも容易であったりするというメリットがあります。
しかしこのようなことが起これば、せっかく遺言書を作っておいたにもかかわらず、遺言者の意思が反映されないばかりか、そのことによって相続における紛争が起きかねません。
このような危険を防ぐため、国は、遺言者のために遺言書を保管する制度を作ることにしました。
なお、政策的な観点からいうと、不動産の名義が亡くなった方のままになっているなどの理由により、所有者が不明のままになっている土地が全国に多く生じてしまっていることが社会問題化しており、これに対応する必要があることから、国は、国民に遺言書を作成することを推奨しています。
自筆で遺言書を作成しておきたいという方には、非常にメリットがある制度ですので、積極的な活用をおすすめいたします。
2 保管先
自筆証書遺言の保管は、全国の法務局で対応しているものの、遺言者がどの法務局にも保管を依頼できるわけではありません。
それぞれの遺言者について管轄のある法務局が決まっています。
この管轄がある法務局というのは、遺言者の住所地、本籍地、または、所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局のことであり、遺言者はこの中であれば任意の法務局を選択することができます。
なお、より正確には、法務局にある遺言書保管所という部署が対応していますので、実際の手続きはこの担当部署に依頼しましょう。
岐阜県内の法務局では、岐阜市の本局、大垣支局、高山支局、多治見支局、中津川支局、美濃加茂支局、八幡支局で対応しています。
それぞれの法務局の管轄する地域がどこなのかは、法務局のホームページでご確認ください。
参考リンク:岐阜地方法務局・法務局・管轄のご案内
3 申請方法や費用
遺言者が遺言書の保管を申請するためには、申請用紙を作成したうえで、保管の申請のための予約を取ることが必要です。
あくまで保管だけをしてくれる制度ですので、内容についての相談には応じてくれませんし、遺言書は申請者の方で予め作成しておくことが必要です。
申請にあたっては、作成しておいた遺言書のほか、添付書類として必要な書類を用意したうえで、本人確認書類を持参して、法務局で手続きをします。
保管のための手数料は、本記事作成時には、1通につき3900円とされています。
4 遺言書の形式
保管を受け付けてもらえる遺言書には、形式面での要件があります。
たとえば、遺言書にはA4の用紙を用いて作成しなければなりませんし、遺言書の上部および右部に5ミリメートル以上、下部に10ミリメートル以上、左部に20ミリメートル以上の余白がそれぞれなければならないとされています。
このような要件を備えているかどうかの審査はされるのですが、上記のように内容についての審査はされませんので、保管をされたからといって必ずしも法的に有効な遺言書であるということにはなりません。
形式についての注意点は、法務省のホームページをご確認ください。
5 相続が発生した後の手続き
保管を依頼した遺言者が亡くなった後、保管されている遺言書を相続手続きに利用するには「遺言書情報証明書交付請求」をする必要があります。
この請求は、相続人や遺言執行者、受遺者であればすることができます。
遺言書を作成すべきタイミング
1 遺言書の作成はお早めに
「遺言書はいつ作成するのがよいのだろう?」という方や、「自分はまだ若いから作成しなくても大丈夫」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、突然の事故など、万が一の事態が生じてしまう可能性は誰にでもあります。
また、認知症になってから遺言を作成したのでは、遺言作成における判断能力の有無を問われ、亡くなった後に遺言書の有効性をめぐって紛争になるおそれもあります。
そのため、転ばぬ先の杖として、元気なうちから、遺言を作成しておくことをおすすめします。
2 人生の節目に遺言を作成しよう
遺言は、できるだけ早く作成した方が良いのですが、それでもなかなか機会がなくて作成できないこともあるかもしれません。
そういった場合は、人生の節目に作成してみるのも一つの方法です。
例えば、孫ができた時や、退職した時、還暦を迎えた時などです。
遺言書を作成するのに遅すぎることはありませんので、このような人生の節目をきっかけとして遺言書を作成してみてはいかがでしょうか。
3 遺言書は何度書き直しても大丈夫
遺言は、何度でも作成し直すことができます。
一度作成した内容でも、その後、百八十度内容を変えることもできます。
例えば、当初は、「長男にすべてを渡す」という内容の遺言書を作成したとしても、その後、気が変わり、「面倒を見てくれた次男にすべてを渡す」という内容に変えても良いのです。
そのため、早い段階で遺言書を作っても問題ありません。
反対に、遺言書を作っておかなければ、万が一の時には、すでに手遅れになっているかもしれませんので、なるべく早い段階で作成するようにしましょう。
遺言書作成を弁護士に相談すべき理由
1 内容に不備のない遺言の作成
亡くなった方の財産の名義変更等の相続手続きを、遺言を用いて行う場合には、遺言に記載された内容をもとにして進める必要があります。
このため、万一、遺言に記載された内容に不備がある場合には、相続財産の名義変更等の手続きが進められず、場合によっては遺言の内容を実現できない可能性があります。
遺言に記載された内容に不備があれば、遺言を作成した方が遺言書の作成に込めた思いを実現することができず、取り返しのつかない事態になることがあり得るのです。
以下では、作成した遺言書に不備があったため、遺言を作成した方の思いを実現できなかった例を挙げます。
⑴ 記載し忘れていた財産があった
遺言では、遺言者が有する不動産、預貯金を列挙した上で、これらを特定の相続人に相続させると記載したものの、記載し忘れていた財産がありました。
相続開始後、遺言では取得できる財産がなかったはずの相続人が、法定相続分相当の財産を取得できるはずであるとの主張を行いました。
このため、法定相続分の権利を主張した相続人が記載し忘れた財産をすべて取得することとなってしまいました。
⑵ 遺言執行者を指定しなかった
遺言で、相続人以外の人に不動産を遺贈すると記載したものの、遺言執行者を指定するとの記載を設けませんでした。
遺言執行者がいない場合は、不動産の遺贈の登記に際し、相続人全員の協力(実印を押印し、印鑑証明書を提供する)が必要となります。
このため、財産を受け取る方は、相続開始後、10名を超える相続人に連絡をとり、何名かの相続人には「ハンコ代」を支払うこととなってしまいました。
⑶ 農地の名義変更ができなかった
遺言で、特定の農地を相続人以外の人に遺贈すると記載したケースです。
遺言による遺贈であっても、特定の農地を譲渡するためには、農業委員会の許可が必要となります。
相続開始後、農地を受け取る方は、農業委員会の許可を得て名義変更を行うことを試みましたが、農業とは無関係の人であったため、結局、農業委員会の許可を得ることができず、農地の名義変更ができませんでした。
弁護士に遺言作成を依頼すれば、弁護士は、遺言を作成される方の思いを聴き取り、これを踏まえて遺言の文案を作成します。
遺言を作成される方は、弁護士が作成した文案を自書したり、文案に基づいて公正証書遺言の作成を手配してもらったりすることができます。
このように、弁護士に依頼すれば遺言内容に不備があるといった事態を避けることができるでしょう。
2 トラブルの生じにくい遺言の作成
遺言を作成したとしても、相続の場面では、様々なトラブルが生じるおそれがあります。
例えば、遺言により、特定の相続人がすべての財産を取得することにしたとしても、他の相続人が遺留分侵害額請求を行い、結局、相続紛争に発展してしまうおそれがあります。
また、認知症のため遺言能力がなかったのではないかという理由で、そもそも遺言が有効なのかという点が争われる場合もあります。
このようなトラブルの発生を防ぐためには、遺言作成に際し、生じ得るトラブルを予測し、これに対する対策を行っておくのが望ましいです。
例えば、特定の相続人がすべての財産を取得することとした理由が、他の相続人がすでに十分な生前贈与を受けているからであるという事例があります。
このような場合には、遺言で、付記事項として、他の相続人が十分な生前贈与を受けていることを、贈与の時期、金額、方法等を特定して記載します。
このようにすれば、他の相続人が遺言内容に納得し、遺留分侵害額請求を行わなくなる可能性があります。
仮に遺留分侵害額請求が行われたとしても、遺言の付記事項が重要な証拠の一つになり、他の相続人からの請求が認められなくなる可能性もあります。
弁護士は、法律の専門家であり、日頃から多くの紛争案件も取り扱っていますので、将来生じ得る法的問題を想定しつつ、これを回避するための方策を検討することができます。
こうした検討結果を踏まえ、トラブルの生じにくい遺言を作成することが可能です。
3 遺言作成についてのご相談
当法人では、遺言作成のご相談を多数承っております。
遺言作成をお考えの方は、岐阜駅から徒歩3分の弁護士法人心 岐阜法律事務所にご相談ください。