4 特別縁故者
⑵ 特別縁故者の範囲
ウ その他被相続人と特別の縁故にあった者
審判例では,生計を同じくしていた者,療養看護に努めた者に準ずる程度に,被相続人との間に具体的かつ現実的な精神的・物質的に密接な交渉があった者が,これに該当するとされています(大阪高決昭和46年5月18日家月24巻5号47頁)。
実際に特別縁故者と認められた例は,多岐にわたっています。
最近では,被相続人の生前から,実家の墓守りを代わりに行い,老人ホームの身元引受人となり,被相続人との間で任意後見契約を締結し,包括遺贈する旨のメモ書きを残されていた,被相続人のまたいとこの妻を特別縁故者と認めた審判例があります(鳥取家審平成20年10月20日家月61巻6号112頁)。
特別縁故者に該当するかどうかは,判断が微妙である場合も多いです。
弁護士などの専門家に相談した方が良いことも多いでしょう。
⑶ 手続き
相続財産管理人がまだ選任されていない場合は,手続きを進めることはできません。
この場合は,特別縁故者であると主張する者は,家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てを行う必要があります。
相続財産管理人が選任され,相続人捜索の公告が行われた場合は,特別縁故者であると主張する者は,公告期間満了後3か月以内に,家庭裁判所に対し,相続財産処分の申立てをする必要があります。
この期間内に申立てを行わなければ,特別縁故者として財産の分与を受けることはできません。
被相続人の住所地または相続開始地が三重県内であれば,津家庭裁判所において相続財産処分の申立てをすることができます。