相続で必要となる実印について
1 実印とは
実印とは、印鑑の登録を受けている印章のことをいいます。
印鑑の登録は、住民基本台帳に記載のある方について、住所のある各市町村で行うことができます。
そのため、外国に居住しており、日本の市町村に住所がない方は、印鑑の登録を受けられません。
他方で、外国籍の方であっても、日本に住所がある場合には、外国住民として住民基本台帳に記載されることになっていますので、印鑑の登録を受けることができます。
他に、15歳未満の方や意思能力を有しない方についても、印鑑の登録を受けることができません。
このような印鑑の登録に関するルールは、各自治体の条例で定められています。
2 登録できる印章
どのような印章でも、実印として印鑑登録できるわけではありません。
各自治体の印鑑条例によって、登録ができない印章が定められています。
例えば、岐阜の一部では、住民基本台帳に記録されている氏名、氏、名等の一部を組み合わせたもので表していない印章、ゴム印その他の印鑑で変形しやすい印章で印鑑登録することはできないと定められています。
非漢字圏の外国住民の方については、住民票の備考欄に記載されているカタカナ表記を用いた印章によって登録することができるとされています。
3 相続で実印が必要な理由
相続手続きにおいては、相続人の実印が必要になるケースがあります。
遺産の中に不動産が含まれている場合、不動産の登記名義を移転する手続きをするためには、遺産分割協議書等の書類に実印で押印し、印鑑登録証明書を法務局に提出しなければなりません。
また、預貯金等の金融資産の相続手続きにおいても、相続届等の書類に実印で押印することや、印鑑登録証明書を提出することが必要となるケースがあります。
ただし、遺産分割協議において、遺産分割協議書を実印で押印しなければ法的効果がないというわけではありません。
遺産分割協議書を作成したにもかかわらず、実印での押印がされていなかった場合や、実印での押印をしたにもかかわらず、印鑑登録証明書の提供を拒んだ場合等には、裁判などの法的手続きが必要になることがあります。
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